農地には優良農地の確保等を目的とした農地法の適用がありますので、宅地や雑種地等とは異なり、自己所有の土地であっても農地を勝手に売買や貸借をしたり、耕作以外の用途で使用することは認められず、適正な許可又は届出手続きが必要となります。
農地法の手続きは現況主義となっていますので、現況が農地と判断されているのであれば農地法の適用があり手続きが必要となります。土地の登記簿上の地目が雑種地等となっていても、土地の課税台帳等で現況が田や畑となっている場合は注意が必要です。
一方、現況は農地ではなくなっているが、登記簿上の地目が田や畑となっている場合であっても、所有権移転登記等を行う際には、登記官は形式的審査にとどまり実体的審査は出来ない為、農地法の許可等を証する書面の添付が必要となりますので、この場合でも農地法の手続きが必要となる場合があります。ただし現況が長期間農地でなくなっている場合は、比較的簡易な手続きである非農地証明が取得できる可能性が高くなります。その場合は非農地証明を添付して事前に地目変更登記を行うことにより、所有権移転等の登記が可能となります。
農地法許可の効力
農地に関しては『都道府県知事などの許可を得ることは農地の売買契約の効力発生の法定条件であり、許可がない限り、農地の所有権移転の効力は生じない』とされています。すなわち、必要な許可を受けずに行った売買等は所有権移転等の効力は無く、許可を条件として効力が発生することとなります。
また、上記でも説明した通り、農地法の許可は登記の際の効力要件です。農地の所有権移転等をする場合、登記手続きには農地法の許可等を証する書面の添付が必要ですので、許可を得ずに農地を売買したとしても登記をする事が出来ません。
必要な手続きを怠った場合
農地を無許可で売買したり、耕作以外の用途で使用した場合は、農地法の定めにより、 個人については3年以下の懲役又は300万円以下の罰金、法人については1億円以下の罰金が科せられることがあります。
このほか、悪質な場合は無断転用に対する行政処分として農地への原状回復命令が下される場合もあります。